小児の水痘ワクチンが定期接種になったのは、2014年です。

それ以前は、水痘、いわゆる水ぼうそうで学校を休む子どもがたくさんいました。僕も小学生のとき、水ぼうそうで学校を休んだことを覚えています。

多くの子どもでは、水痘は比較的軽症で治ります。

でも、ウイルスが体から消えたわけではありません。

水痘と帯状疱疹は、同じウイルス

水痘帯状疱疹ウイルスに初めて感染したときに起こるのが、水痘です。

水痘が治った後も、ウイルスは神経節に潜伏します。そして、加齢や病気、治療などによって免疫の働きが低下すると、再び活動を始めることがあります。

これが帯状疱疹です。

つまり、

水痘は初感染。
帯状疱疹は再活性化。

同じウイルスが、時期を変えて2つの病気を起こします。

「水痘が治った」と「ウイルスが消えた」は、同じではないんですよね。

水痘を予防するワクチン

水痘(つまり水痘帯状疱疹ウイルスの初感染)を予防するために接種するのは、乾燥弱毒生水痘ワクチンです。

子どもが定められた年齢で乾燥弱毒生水痘ワクチンを受ける場合は、定期接種になります。

一方、研修医が就職時健診で水痘抗体陰性と分かり、乾燥弱毒生水痘ワクチンを受ける場合は、任意接種です。

同じワクチンを使っていても、誰が、何歳で、どの制度に基づいて受けるかによって、定期接種か任意接種かが変わるわけです。

なお、シングリックスは帯状疱疹を予防するワクチンです。水痘の予防接種には使えません。

研修医が水痘抗体陰性だった場合に接種するのは、シングリックスではなく、乾燥弱毒生水痘ワクチンです。

帯状疱疹を予防するワクチン

帯状疱疹(つまり水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化)を予防するワクチンには、2種類あります。

1つは、先ほどの乾燥弱毒生水痘ワクチンです。1回、皮下注射します。接種が1回で終わる一方、生ワクチンなので、妊娠中の人や免疫機能が低下している人には接種できません。

もう1つは、組換えワクチンのシングリックスです。通常は2回、筋肉内に接種します。予防効果が高く、長く続くことが特徴ですが、接種部位の痛みや倦怠感などは比較的起こりやすくなります。

どちらを選ぶかは、年齢、基礎疾患、免疫抑制治療の有無、接種回数や費用などを含めて考えます。

帯状疱疹ワクチンも定期接種になった

帯状疱疹ワクチンは、2025年度から65歳の人などを対象に定期接種となりました。

使われるのは、乾燥弱毒生水痘ワクチンまたはシングリックスのどちらかです。

ちなみに、静岡県の牧之原市が公開している案内では、自己負担額は、乾燥弱毒生水痘ワクチンが1回4800円、シングリックスが1回1万2000円でした。

シングリックスは2回接種するため、自己負担は合計2万4000円です。

参考文献

牧之原市.
高齢者帯状疱疹予防接種のお知らせ
2025年4月10日更新.
https://www.city.makinohara.shizuoka.jp/soshiki/17/57035.html
最終閲覧日:2026年7月25日

秘書ユナのコメント

水痘と帯状疱疹は、別々の病気に見えます。

でも、原因は同じウイルスです。

初めて感染すると水痘になる。

治った後も神経節に潜伏する。

そして、何十年もたってから帯状疱疹として現れることがある。

初感染、潜伏、再活性化。

この流れが分かれば、ワクチンの役割も整理できます。

水痘を予防するのは、乾燥弱毒生水痘ワクチン。

帯状疱疹を予防するのは、乾燥弱毒生水痘ワクチンまたはシングリックス。

細かな数字を覚えるより、まずはこの全体像です。

こあら先生のひとりごと

例えば研修医が、水痘予防のために乾燥弱毒生水痘ワクチンを接種したとします。ワクチン接種によって、水痘の発症リスクは大きく低下します。

一方、生ワクチンに含まれるワクチン株(岡株)も、神経節に潜伏感染しうると考えられます。

2016年に報告されたヒト神経細胞を用いたin vitro研究では、ワクチン株は潜伏状態を成立させる能力を保っていましたが、再活性化する能力は低下していました。

ただし、これはヒト神経細胞を用いた実験モデルの結果であり、実際の接種者における帯状疱疹の発症リスクを直接示した研究ではありません。

そして論文そのものが難解であるため、僕の読解力という問題を孕みます。

参考文献

Sadaoka T,Depledge DP,Rajbhandari L,et al.
In vitro system using human neurons demonstrates that varicella-zoster vaccine virus is impaired for reactivation, but not latency
Proc Natl Acad Sci U S A.2016;113(17):E2403-E2412.
doi:10.1073/pnas.1522575113.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27078099/
最終閲覧日:2026年7月25日