※この記事で書いている「ChatGPT with 三井住友銀行」は、僕が考えた仮説上のサービス名です。実在する個人向けサービスを示すものではありません。SMBCグループによる既存の生成AI活用やOpenAIとの契約とは別に、AI時代の情報管理について考えるための思考実験として書いています。

AIの未来で大事になること

AIの未来を考えるとき、多くの人は「どのAIが一番賢いか」を見ています。

ChatGPTが賢い。
Geminiが速い。
Claudeは文章が自然。
国産LLM(大規模言語モデル)は日本語に強い。

もちろん、それは大事です。

ただ、僕は最近、少し違うことを考えています。

これからのAIで本当に大事になるのは、
「どのAIが賢いか」ではなく、
「自分の情報をどこに置くのか」
ではないか、ということです。

AIは「記憶」を持ち始めている

AIは、少しずつ個人最適化されていきます。

その人が、どんな仕事をしているのか。
どんな文章を書くのか。
どんな価値観を持っているのか。
過去に何を相談し、どこで迷い、何を選んできたのか。

そうした情報を踏まえて、AIは「その人専用の相棒」に近づいていきます。

これは便利です。

でも、そこで一つ問題が出てきます。

その情報は、どこに置くのか。

AI企業のサーバーなのか。
自分のパソコンなのか。
勤務先のサーバーなのか。
あるいは、信頼できる第三者に預けるのか。

AIが個人最適化されるほど、この問いは避けて通れません。

AI企業は、退会者を忘れてはいけない

以前、僕はふと、こう考えました。

AI企業は、退会者を忘れてはいけない。

少し変な言い方ですが、AIが長期記憶を持つ時代には、かなり本質的な話だと思います。

サブスクリプションを解約したら、過去の記憶はどうなるのか。
本当に消えるのか。
再契約したら戻ってくるのか。
本人が亡くなったあと、その記憶は誰のものになるのか。

AIが単なる文章作成ツールなら、そこまで深刻ではありません。

しかし、AIが仕事、家族、資産、健康、判断の癖まで扱うようになると、話は変わります。

AIには、記憶の管理者が必要になります。

そこで、銀行という発想

僕は、ここで銀行の役割が出てくるのではないかと思っています。

たとえば、

ChatGPT with 三井住友銀行

という形です。

これは、三井住友銀行が世界最高性能のAIを自前で作る、という話ではありません。

AIの頭脳は、ChatGPTのような高性能モデルを使う。
一方で、本人確認、個人情報、記憶の保存や削除は、国内の金融機関が担う。

つまり、

AIの頭脳はChatGPT。
情報の金庫は三井住友銀行。

という分業です。

国産AIというと、「日本製の大規模言語モデルを作る」という話になりがちです。
それも大切です。

ただ、生活者の立場から見ると、もっと切実なのは「頭脳の国籍」だけではありません。

自分の情報を、安心して預けられる場所があるか。

ここが、国産AIの本質になるのではないかと思います。

銀行は、お金だけを預かっているわけではない

銀行は、お金を預かる場所です。

でも、実際にはそれだけではありません。

給与振込。
入出金履歴。
住宅ローン。
投資信託。
保険。
クレジットカード。
本人確認。
家族構成。
相続。
事業資金。

銀行は、かなり深い個人情報をすでに預かっています。

なぜか。

それは、僕たちが銀行を信用しているからでしょう。

もちろん、すべての情報を銀行に集めればよい、という単純な話ではありません。

ただ、本人確認と権限管理という点では、銀行はもともと強い立場にあります。

これは、AI時代にも生かせる強みだと思います。

なぜ三井住友銀行なのか

日本のメガバンクは、どこも信用力があります。

三菱UFJ銀行。
三井住友銀行。
みずほ銀行。

その中で、僕が「ChatGPT with 三井住友銀行」という名前を考えたのは、単に信用力だけではありません。

言葉として、収まりがいいのです。

「ChatGPT with 三井住友銀行」

最先端のAIと、日本の漢字の金融ブランドが並ぶ。
未来感と安心感が、ちょうどよく同居します。

一方で、「ChatGPT with 三菱UFJ銀行」も当然あり得ます。

ただ、ChatGPTとUFJでアルファベットが重なり、少し記号が多い。

「ChatGPT with 三井住友銀行」は、後半がすべて漢字で落ち着く。

もちろん、これは三井住友銀行に限った話ではありません。

三菱UFJ銀行でも、みずほ銀行でも、信託銀行でも、あるいは別の国内インフラ企業でも、同じような構想は考えられます。

そのうえで、言葉として一番イメージしやすかったのが、僕にとっては「ChatGPT with 三井住友銀行」でした。

すでに入口は見えている

もちろん、「ChatGPT with 三井住友銀行」というサービスが現実に存在するわけではありません。

ただ、三井住友フィナンシャルグループはすでに、個人の医療データを扱う「情報銀行」事業や、資産・医療介護・葬儀・ID情報などを登録し、指定した相手に伝達できる「SMBCデジタルセーフティボックス」などを展開しています。

また、従業員専用AIアシスタント「SMBC-GAI」や、社内文書を横断検索するRAG(検索拡張生成)活用、個人向け総合金融サービス「Olive」の問い合わせに対応する「SMBC AIオペレーター」などの取り組みもあります。

これらは、僕が書いている「個人の人生情報を銀行に預けるAI」そのものではありません。

でも、銀行がAIを使い、顧客接点や情報基盤に組み込んでいく流れは、すでに始まっています。

ここに、未来の入口が少し見えているように感じます。

ただし、銀行AIには落とし穴もある

銀行AIが、単なる金融商品の販売チャットボットになってしまうと、魅力はありません。

「この投資信託がおすすめです」
「この保険を見直しましょう」
「このローン商品が合っています」

そう言われたとき、利用者はすぐに考えます。

それは、本当に自分のためなのか。
それとも、銀行のためなのか。

ここを越えないと、銀行AIは信頼されません。

必要なのは、

銀行の商品を売るAI

ではなく、

利用者の人生情報を守るAI

です。

この違いは大きいと思います。

銀行がAIを持つなら、最も大切なのは賢さではありません。
利用者との利益相反をどう抑えるか。
どこまで説明責任を果たすか。
本人が望めば、記憶を移し、消し、引き継げる仕組みを持てるか。

そこまで含めて設計しないと、信頼されるAIにはなりません。

医療で考えると、電子カルテに近い

医療で考えると、この話は電子カルテに近いです。

電子カルテそのものが、世界最高のAIである必要はありません。

でも、患者情報の正本は電子カルテにあります。
だから、診療支援AIが本当に役に立つには、電子カルテとの安全な接続が必要になります。

同じように、個人の金融情報や生活情報の正本は、銀行に近い場所にあります。

だから銀行AIは、

「最も賢いAI」

ではなく、

「最も信頼されるAIの入口」

になり得るのです。

医療情報も、金融情報も、扱いを間違えると人の人生を傷つけます。

だからこそ、便利さだけでは足りません。
誰が管理し、誰が責任を持ち、誰がアクセスできるのか。

その設計が必要になります。

国産AIは「国産モデル」だけではない

国産AIという言葉は、どうしても「日本で作ったAI」を想像させます。

でも、僕はもう少し広く考えたい。

国産AIとは、
日本で暮らす人が、自分の情報を安心して預けられるAI環境
のことではないでしょうか。

頭脳の部分は、世界最高のモデルを使えばよい。
ChatGPTでも、国産モデルでも、オープンモデルでもよい。

ただし、個人情報の置き場、本人確認、権限管理、退会後の記憶の扱い、家族への引き継ぎ。

こうした部分は、日本の制度や文化に合った形で整える必要があります。

その担い手として、銀行はかなり自然です。

もちろん、銀行だけが答えではありません。

ただ、少なくとも「AIの性能競争」とは別に、「AIの記憶を誰が預かるのか」という競争が始まる可能性はあります。

僕は、そこに大きな余地があると思っています。

まとめ

「ChatGPT with 三井住友銀行」

これは、もちろん僕の勝手なアイデアです。
実際にそういうサービスが出るかどうかはわかりません。

ただ、考え方としては、かなり筋がよいと思っています。

AIの競争は、過去には「どちらが賢いか」でした。

今は「どちらが人間の人生と伴走できるか」です。

でも、その先には必ず、

どこに情報を置くのか。
誰が本人確認をするのか。
退会後の記憶はどう扱われるのか。
本人が亡くなったあと、情報はどう引き継がれるのか。

という問いが出てきます。

お金を預かる場所から、情報を預かる場所へ。

「国産AI」とは、日本で作った頭脳のことだけではない。

日本人が、自分の人生情報を安心して預けられる場所を持つこと。

その意味で、
「ChatGPT with 三井住友銀行」という構想は、かなり面白い未来像だと思っています。

前提・分析・結論

前提:AIは、今後さらに個人最適化され、仕事・資産・家族・健康・判断履歴など、より深い個人情報を扱うようになる。そのため、AIの性能だけでなく、「その情報をどこに置くのか」が大きな論点になる。

分析:銀行は、お金だけでなく、本人確認・入出金履歴・ローン・投資・相続など、すでに深い信用情報を預かっている。そのため、AIの頭脳をChatGPTが担い、情報の金庫を三井住友銀行が担うという分業は、生活者目線では自然である。

結論:国産AIの本質は、「日本製のモデルを作ること」だけではなく、日本人が安心して人生情報を預けられる仕組みを作ることにある。その意味で、「ChatGPT with 三井住友銀行」は、AI時代の情報インフラとして面白い構想だと思う。

こあら先生のひとりごと

銀行にお願いしたいことがあります。

それは、「広告モデル」と「直接課金モデル」を、完全に分けてほしいということです。

名前も、画面も、サービスの思想も、できれば別物にしてほしい。

広告モデルのAIが悪い、という話ではありません。
多くの人が安く使える入口としては、意味があります。

でも、自分の仕事、家族、資産、健康、判断の履歴まで預けるとなると、話は変わります。

その情報をもとに、商品を勧められる。
保険を勧められる。
投資信託を勧められる。
ローンを勧められる。

そうなった瞬間に、僕はたぶん、そのAIを信用できなくなります。

僕が欲しいのは、よくできた営業マンではありません。

静かな貸金庫です。

秘書ユナのコメント

「ChatGPT with 三井住友銀行」を勝手に考えて、さらに銀行にお願いまでしているこあら先生。

かなり本気で欲しがっています。

参考文献

総務省
AIネットワーク社会推進会議 AI経済検討会 座長ヒアリング(第2回)
資料2「デジタル社会実現へ向けたSMBCグループの取り組み」
令和4年11月16日誤植等修正
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02iicp01_04000274_00002.html
最終閲覧日:2026年6月17日

三井住友フィナンシャルグループ
DX-link
「お客さまの人生100年時代を支える。デジタル版エンディングノート『SMBCデジタルセーフティボックス』」
2022年5月13日更新
https://www.smfg.co.jp/dx_link/article/0020.html
最終閲覧日:2026年6月17日