昨日からか、今日からか。
無料版のGeminiが、急に賢くなったように感じている。
僕はGeminiもChatGPTも有料版をPCで使っている。だから、無料版のGeminiに触れる場面は、主にGoogle検索の「AIモード」である。
たとえば「静岡こあらの覚え書き」とGoogle検索する。そこでAIモードに切り替えると、AIが要約し、解説してくれる。その後は、チャットのように深掘りしていくこともできる。
以前から、そういう機能はあった。
ただ、ここ1〜2日で、返答の質が少し変わったように感じている。セッションを長く続けても、思考が浅くなりにくい。こちらが少し踏み込んで聞いても、根負けせずに、長めの文章で考え続けてくる。
もちろん、本当にバージョンアップしたのかは分からない。
たまたま、僕が投げた問いとの相性がよかっただけかもしれない。
それでも、体感としては大きい。
あれ、これは少し変わったかもしれない。
そう思っている。
多くの人は、まだ最初にGoogle検索をする
何かを調べるとき、多くの人はまだ、最初にGoogle検索をすると思う。
病院を探す。
商品を調べる。
言葉の意味を確認する。
薬の画像を見る。
ニュースの背景を調べる。
僕自身も、いきなりAIを開くことは少ない。まずGoogle検索であたりを付ける。いくつかページを読む。そのうえで、必要ならChatGPTに入れて、要約したり、比較したり、文章にしたりする。
つまり、情報の入口はGoogle検索。
加工や思考の相手はAI。
そんな分業が、僕の中にはある。なぜか。
たぶん、Google検索の中に、十分に賢いAIがいなかったからである。
最近になってGoogle検索にもAI機能は入ってきた。ただ、少なくとも僕の体感では、それはまだ検索の補助機能に近かった。便利ではある。でも、それだけで考えを深めていける感じではなかった。
ところが、そこに能力の高いAIが入ってくると、話は少し変わる。
新しい習慣を作らなくてよい強さ
ChatGPTを使うには、ChatGPTを開く必要がある。
Claudeを使うには、Claudeを開く必要がある。
慣れている人には、何でもない動作である。僕もそうだ。むしろ、自分の文体や考え方、仕事の流れを理解しているChatGPTを使う方が自然である。
ただ、多くの人にとって、AIを使うためだけに新しい場所へ移動するのは、少し手間かもしれない。
僕たちは、新しい道具を選びたいのではない。
今までの検索に、もう少し賢くなってもらいたいのだ。
Googleで検索する。
そこにAIが答えてくれる。
追加で聞ける。
比較してくれる。
要約してくれる。
文章を作成してくれる。
それは、AIを特別な道具として使いこなすというより、いつもの検索が少し奥行きを持つということだ。
この場合、ユーザーはGeminiを選んでいるという意識すらないかもしれない。ただ、いつものGoogle検索が便利になったと感じるだけである。
でも、それは決して浅い使い方ではない。
日常の中で必要な情報に早くたどり着くこと。
複数の情報を比べること。
分からない言葉を、その場で聞き返せること。
それだけで、十分に大きな変化である。
AIを普及させる最短距離は、AIを新しいサービスとして売ることではないのかもしれない。
すでに人々が使っている場所に、AIを置くこと。
その方が、ずっと自然に広がる。
Yahoo! BBのモデム配布を思い出した
僕は昔のYahoo! BBを思い出した。
僕が初めてインターネットを見たのは、大学の生化学教室の実験室のような場所だった。ダイアル回線で、ピーガラガラガラという音がして、ホームページが全部表示されるまで20秒くらい待っていた。
自分のアパートでも、最初はたしかダイアル回線だった。従量課金で、テレホーダイを使っていたように記憶している。
1999年に大学を卒業して研修医になったので、その後の2〜3年の記憶は少し曖昧である。忙しかったのだと思う。
ただ、ある時期から急に、インターネットが高速で、定額で、つなぎ放題になった。
孫正義さんが、Yahoo! BBのADSLモデムを日本中で無料配布していた時代である。黒い本体に、黄色でYahoo! BBと書いてあった記憶がある。
僕の家のPCも、いつの間にかそうなっていた。
たぶん、妻がやってくれたのだと思う。
当時、インターネット回線は今ほど当たり前ではなかった。ブロードバンドという言葉も、どこか新しかった。何を選べばよいのか、一般の人にはよく分からなかった。
そこに、無料でモデムが配られる。
詳しく比較する前に、まず使ってみる人が出る。
一度使い始めると、それが生活に入り込む。
回線が変われば、見に行くポータルも、検索する場所も、メールも、少しずつ習慣になる。
あれは、単に通信機器を配っていたのではなかった。
入口を配っていたのだと思う。
もちろん、当時のYahoo! JAPANの強さには、Yahoo! BBだけではなく、時代背景、広告、ポータル文化、携帯以前のインターネット利用習慣など、いくつもの要因があったはずである。
それでも、一般消費者として見ていた僕の記憶では、Yahoo! BBのモデム配布には圧倒的な力があった。
入口を押さえるとは、こういうことなのだと、今になって思う。
Googleは、それをもっと静かにやっている
孫正義さんのYahoo! BB戦略は、目に見えた。
駅前で配る。
声をかける。
モデムの箱がある。
無料という言葉がある。
とても分かりやすい戦略だった。
一方で、Googleが今やっていることは、もっと静かである。
検索窓は、昔からそこにある。
そこにAIが少しずつ重なっていく。
ユーザーは、新しいモデムを受け取らない。
行列に並ばない。
契約書も見ない。
ただ、いつもの検索窓が少し賢くなる。
いつものGoogleが、会話できるようになる。
その変化は派手ではない。
でも、規模が違う。
日本のブロードバンド市場どころではない。
世界中の検索行動、スマホ利用、日常の情報収集に入り込む動きである。
孫正義さんが街頭で配ったものがモデムだったとすれば、Googleが今配っているものは、AI化された検索体験なのだと思う。
しかも、それは箱に入っていない。
画面の中に、最初から置かれている。
AIの使い方は、ひとつではない
では、ChatGPTやClaudeは一気に影が薄くなるのか。
そこは、使い方によって分かれると思う。
日常の検索。
ちょっとした要約。
旅行の比較。
買い物の下調べ。
言葉の確認。
簡単な文章作成。
こうした場面では、Google検索とGeminiの組み合わせはかなり自然である。わざわざ別のサービスを開かなくても、いつもの検索の延長で聞ける。これは、使う側にとって大きな利便性だと思う。
そして、その使い方は十分に合理的である。
AIをどこまで深く使うかは、人によって違う。毎日の暮らしや仕事の中で、必要な分だけ自然に使えればよい。
一方で、僕自身はこれからもChatGPTを使うと思う。
理由は単純で、すでに僕のことをかなり理解しているからである。
何に関心を持っているか。
どのような文体を好むか。
医療・生活改善・病院経営・AI活用・投資や採用広報について、どのような文脈で考えているか。
この蓄積は、単なる検索結果では代替しにくい。
AIを検索の延長として使う人。
AIを文章作成や思考整理の相棒として使う人。
AIを仕事の一部として深く組み込む人。
目的は、いろいろある。
いつもの場所が、AIになる
Googleの怖さは、AIそのものの賢さだけではない。
GoogleはAIを売り込む必要がない。
検索を少しずつAI化すればよい。
もっと言えば、Androidを少しずつAI化すればよい。
ChromeやGmailやGoogleマップの中に、少しずつAIを置けばよい。
人は新しい道具に移るのではない。
今使っている道具が、知らないうちにAIになる。
無料版Geminiが急に賢くなったように感じた日。
僕が見たのは、Gemini単体の進化ではなかった。
Google検索そのものが、本格的にAI化し始めた気配だった。
前提・分析・結論
前提。
僕はここ1〜2日で、無料版Gemini、正確にはGoogle検索のAIモードが急に賢くなったように感じた。多くの人は今でも、何かを調べるときにまずGoogle検索を使う。
分析。
Google検索の中に能力の高いAIが入ると、AIを使うために新しい習慣を作る必要がなくなる。これは、AIサービスを新しく選ばせる戦略ではなく、すでにある入口をAI化する戦略である。かつてYahoo! BBのモデム配布が、通信機器ではなくインターネットの入口を配っていたように、Googleは検索窓やAndroidの中に、AI化された入口を静かに置いている。
結論。
無料版Geminiが急に賢くなったように感じたことは、単なるAI性能の変化ではなく、Google検索という入口そのものが変わり始めたことを示しているのかもしれない。AIの勝負は、賢さだけでは決まらない。どこに置かれているかで、使われ方は大きく変わる。