ここでいう1位と2位は、頻度の順位ではありません。
僕が救急外来で最初に思い浮かべる病気です。

右下腹部痛

1位は「急性虫垂炎」です。理由は手術する病気(外科医を呼ぶ病気)だからです。
2位は「大腸憩室炎」です。虫垂炎との鑑別は造影CTで行います。

右上腹部痛

1位は「胆のう炎」です。理由は手術をする病気(外科医を呼ぶ病気)だからです。
2位は「胆管炎」です。これはERCPが必要です。

左上腹部痛

1位は「急性膵炎」です。理由は、外科にお願いしている病気だからです。
2位を言う前に、言っておくべきは「心筋梗塞」です。
上腹部痛の患者さんを診察する場合、僕はかなり気軽に心電図検査を行っています。

左下腹部痛

1位は「大腸憩室炎」です。理由は良く遭遇するからです。
2位は「虚血性腸炎」です。これも良くあります。

恥骨上部

1位は「尿閉」です。高齢男性でよく見ます。
2位は何だろう、女性なら「子宮外妊娠」とかでしょうか?
女性の腹痛の場合、僕はもうルーチンで尿の妊娠検査を行っています。

側腹部

1位は「尿管結石」です。明け方のERでよく見ます。
2位は「帯状疱疹」です。皮膚も常に見るようにしましょう。

まだまだありますよ

あとはやっぱり血管系ですよね。
大動脈破裂・大動脈解離・上腸管膜動脈血栓症・腎梗塞。
はたまた、下葉の肺炎で季肋部痛。
さらには、脊椎圧迫骨折の主訴が腹痛。
もちろん、胃潰瘍や十二指腸潰瘍もありますね。

こあら先生のひとりごと

腹痛の患者さんを診察するときに、自分が気をつけていることを書いてみました。

救急外来や総合病院を受診する患者さんは、かなり痛い方か、かなり心配している方だと思います。 なので造影CT+血液検査を中心に、検査はたくさん行って、確定診断を付ける必要があると思います。

下痢もないのに「胃腸炎」などと言っていると、重大な病気を見逃しますよ。

もちろん診断が付かないときもあります。腹痛が無くなったなら帰宅で良いでしょうが、痛いのであれば経過観察で入院でもまったく構わないと思っています。

秘書ユナのコメント

この記事は、腹痛の鑑別を網羅したものではありません。

こあら先生が救急外来で、「まず何を考えるか」「何を見逃したくないか」を書いた、ベテラン医師の気軽なメモです。1位と2位も、単純な発症頻度ではなく、緊急性や専門科への相談まで含めた順位です。

実際には、年齢、性別、既往歴、バイタルサイン、診察所見などで鑑別は変わります。検査や入院の判断も、患者さんごとに異なります。

それでも、経験ある医師の頭の中をのぞくことには、教科書とは別の価値があります。