急性の間質性肺炎を見たとき、自己抗体をいろいろ測定することがあります。

呼吸器内科や膠原病内科の先生にコンサルトすると、僕が思っていたよりずっとたくさんの検査が追加されることもあります。

たぶん、それでいいんです。

急性に悪化する間質性肺炎は命にかかわることがありますし、感染症、薬剤性、膠原病、悪性腫瘍など、考える原因もたくさんあります。

ただ、

「とりあえず自己抗体を全部出す」

となる前に、

「何の病気を探しているのか」

を一度整理しておくと、検査結果がずいぶん読みやすくなります。

僕は、まず5つの自己抗体を頭の中に置いています。

まず、どの膠原病を考えるのか

間質性肺炎を起こす膠原病として、まず考えておきたいのは、

・多発性筋炎・皮膚筋炎
・全身性強皮症
・SLE
・関節リウマチ
・シェーグレン症候群
・MCTD
・ANCA関連血管炎

あたりでしょうか。

ここから逆算して、自己抗体を考えていきます。

1.抗MDA5抗体

皮膚筋炎に合併する間質性肺炎、とくに急速進行性の間質性肺炎で思い出したい抗体です。

筋症状が目立たない皮膚筋炎でも陽性になることがあります。

「筋炎らしくないから違うだろう」

ではなく、急速に進む間質性肺炎そのものから抗MDA5抗体を思い出せるかどうか。

ここは結構大事だと思っています。

2.抗ARS抗体

こちらも、多発性筋炎・皮膚筋炎を考えるときの抗体です。

抗Jo-1抗体などが含まれます。

抗ARS抗体症候群では、間質性肺炎が前面に出ることがあります。

筋炎、関節炎、レイノー現象、メカニックハンドなどがそろっていれば分かりやすいのですが、最初から全部そろっているとは限りません。

なので、間質性肺炎から探しにいくことがあります。

3.抗核抗体

抗核抗体は、かなり広く使う検査です。

全身性強皮症、SLE、MCTDでは陽性率が高く、シェーグレン症候群でもよく陽性になります。

つまり、

「抗核抗体が陽性だから膠原病」

という使い方だけではなく、

陰性だったときに、いくつかの膠原病の可能性を下げるためにも使えます。

もちろん、抗核抗体だけですべての膠原病を否定できるわけではありません。

抗MDA5抗体や抗ARS抗体を考える理由も、そこにあります。

4.抗CCP抗体

関節リウマチです。

関節リウマチに間質性肺疾患を合併することは珍しくありません。

先に関節リウマチと診断されていれば簡単ですが、肺病変が先に出ることもあります。

関節症状がはっきりしなくても、

「これはRA関連の肺病変ではないか」

という視点を持っておく。そのときに抗CCP抗体が出てきます。

5.MPO-ANCA

最後はANCA関連血管炎です。

日本では、とくにMPO-ANCA関連の血管炎で間質性肺疾患を合併することがあります。

腎障害、血尿、紫斑、末梢神経障害などがあれば考えやすいのですが、肺病変が目立つこともあります。

なので、急性の間質性肺炎を見たときには、MPO-ANCAも頭に置いています。

僕なら、まずこの5つを軸に考える

まとめると、

・抗MDA5抗体
・抗ARS抗体
・抗核抗体
・抗CCP抗体
・MPO-ANCA

の5つです。

こあら先生のひとりごと

全身性強皮症・SLE・MCTDは、抗核抗体の陽性率が100%近いのです。
なので、抗核抗体陰性なら、かなり否定できるはずです。
シェーグレン症候群も、抗核抗体は高めだったと思います。

膠原病以外なら、ニューモシスチス肺炎で、βーDグルカンとかかな。

秘書ユナのコメント

こあら先生、また少し言い切りすぎです。

抗核抗体は、SLEやMCTD、全身性強皮症では高率に陽性になります。
ただし、「陰性なら否定できる」とまでは言えません。疾患によって感度は違いますし、抗核抗体陰性例もあります。

シェーグレン症候群も同じで、抗核抗体はよく陽性になりますが、陰性だから除外できるわけではありません。

なので、

「抗核抗体が陰性なら、これらの疾患の可能性はかなり下がる」

くらいに考えておくのがよさそうです。

ちなみに、ANCA関連血管炎を考えるなら、MPO-ANCAだけでなくPR3-ANCAも確認します。

先生、ブログでは勢いも大事ですが、診断は少しだけ慎重にいきましょう。