病院には毎日、多くの電話がかかってきます。
外来予約の変更、救急受診の相談、診療内容に関する質問、検査や入院費用の問い合わせなどです。

私の現場感覚としては、この電話の中には地域の困りごとがそのまま詰まっています。

しかし、この情報はほとんど経営に活かされていません。
電話は日々処理されて終わり、院長や経営層に届くことはほとんどないのです。

私はここに、大きな機会があると考えています。

前提

病院では毎日大量の電話対応が行われています。

外来予約
救急相談
診療内容の問い合わせ
検査予約
入院費用
送迎バスや駐車場の案内

病院によって差はありますが、1日100件以上の電話がある施設も珍しくありません。

しかし、この情報は「業務」として処理されるだけで、経営データとして扱われることはほとんどありません。

一方、病院では

投書箱
患者アンケート

といった取り組みはよく行われています。

ただし、これらは

強い不満
大きな感謝

といった、限られた人の声に偏りやすいという特徴があります。

電話は違います。

電話は、もっと日常的で、もっと現実的です。

つまり

地域の人が
どこで困り
何を知りたがり
どこで迷っているのか

その情報が、毎日病院に集まっているのです。

分析

院長という立場で病院を見ると、どうしても気になることがあります。

経営判断には「現場のデータ」が必要だということです。

ところが、病院には不思議なことに

患者の声のデータ

がほとんどありません。

診療データはあります。レセプトデータもあります。

しかし

患者が
何に困り
何を知りたがり
どこで迷っているのか

その情報は、ほとんど見えないのです。

ところが、その答えは実は簡単です。

電話です。

電話の内容を集めれば

患者の困りごと
地域のニーズ
院内の情報不足

これらがかなりの精度で見えてきます。

ただし、これまでは一つ問題がありました。

電話の内容を整理するのが大変だったのです。

人間が手作業で分類し、集計し、分析するのは現実的ではありません。

しかし今は状況が変わりました。

AIです。

音声認識と文章解析を使えば、電話内容は簡単に整理できます。

つまり

電話データ

AI解析

経営データ

という変換が可能になったのです。

提案:「Voicet月報」

そこで私が考えたのが

Voicet月報

という仕組みです。

電話(Voice)とデータ(Dataset)を組み合わせた造語です。

仕組みはシンプルです。

(1)電話対応の内容を簡単に記録する
(2)AIが問い合わせ内容を分類する
(3)月次レポートとしてまとめる
(4)院長が確認し、院内にフィードバックする

例えば、次のようなデータが見えるようになります。

・予約変更の問い合わせが多い
・救急受診の相談が増えている
・入院費用に関する質問が多い
・予防接種の問い合わせが集中している
・特定の診療科の診療日に関する質問が多い

これが分かるだけで、院内の改善はかなり進みます。

例えば

予約変更の電話が多い
→オンライン予約システムを導入する

救急相談が多い
→救急受診の目安をホームページに掲載する

費用の問い合わせが多い
→入院案内を分かりやすく作り直す

予防接種の質問が多い
→SNSや院内掲示で情報発信する

つまり

電話データ
=患者ニーズ

なのです。

結論

電話対応は、日常業務の中では「雑務」に見えるかもしれません。

しかし視点を変えると、それは

地域の人が
どこで困り
何を知りたがり
何に迷っているのか

その情報が集まる場所です。

私は

電話データは経営データである

と考えています。

そして現在は

AIを使えば
電話データは簡単に経営データに変換できる

時代になりました。

Voicet月報は

AIレポートではありません。

地域の声を、院長の意思決定に翻訳する仕組みです。

秘書ユナの視点

医療DXの議論では、電子カルテやオンライン診療などの技術が話題になることが多いですが、実際の現場では「電話」が依然として大きな役割を持っています。

電話には、患者の困りごとや地域のニーズがそのまま現れます。

AIを使って電話データを整理することは、単なる業務効率化ではありません。

それは、病院が地域の声を理解するための新しい経営ツールになる可能性があります。

こあら先生のひとりごと

もちろん、院長がこのデータを見て経営判断をしないのであれば、この施策は部下の業務を増やすだけのものになります。

電話内容を集め、AIがきれいなレポートを作り、それが誰にも読まれない。
こういう取り組みは、組織の中では珍しくありません。

だから私は、この仕組みの価値は院長次第だと思っています。
院長が使えば経営データになりますし、使わなければ単なる報告書で終わります。