2023年7月に、
「肺炎球菌ワクチンって、3種類あるじゃないですか」
というInstagram投稿を作りました。
当時、僕が調べたのはこの3つです。
・ニューモバックスNP 23価 2006年発売
・プレベナー13 13価 2013年発売
・バクニュバンス 15価 2023年発売
バクニュバンスが2023年に発売されたばかりで、「肺炎球菌ワクチンって2種類じゃないの?」と思って調べた記憶があります。
それから3年。
2026年になって、もう一度調べてみました。
ずいぶん変わっていました。
プレベナー13は、もう販売されていません
まず、プレベナー13。
小児の肺炎球菌ワクチンとして長く使われてきましたが、2024年9月に販売終了となりました。
代わって登場したのが、
プレベナー20 20価
です。
名前のとおり、20種類の肺炎球菌血清型をカバーする結合型ワクチンです。
小児では2024年10月から、原則としてプレベナー20が定期接種に使用されています。
バクニュバンス(15価)も使用可能です。
つまり、
「子どもの肺炎球菌ワクチン=プレベナー13」
という僕の頭の中の知識は、すでに古くなっていました。
そして高齢者の定期接種も変わりました
こちらは、内科医の僕にとっては、もっと大きな変化です。
以前、高齢者の肺炎球菌ワクチンといえば、
ニューモバックスNP 23価
でした。
ところが、
2026年4月から、高齢者の定期接種に使用するワクチンが、
ニューモバックスNPからプレベナー20へ変更されています。
現在の定期接種では、65歳の人にプレベナー20を1回、筋肉内注射します。
60~64歳でも、心臓・腎臓・呼吸器の機能障害など一定の条件を満たす人は対象になります。
僕は、
「65歳になったらニューモバックス」
というイメージをかなり強く持っていました。
でも、これはもう2026年度から変わっているのですね。
さらに21価まで出ていました
そして、もうひとつ。
キャップバックス 21価
というワクチンも登場しています。
2025年8月に国内で承認され、10月に発売されました。
こちらも結合型ワクチンですが、ちょっと面白い特徴があります。
単純に、
「20価の次だから、血清型を1種類増やしたワクチン」
というわけではありません。
成人で問題になっている肺炎球菌の血清型を意識して、構成そのものが組み替えられています。
日本の65歳以上における侵襲性肺炎球菌感染症の原因菌を調べたデータでは、2022~2024年の血清型カバー率は、
・プレベナー20 約50%
・キャップバックス 約78%
でした。
ただし、これはあくまで「原因となった血清型をどれだけカバーしているか」という数字です。
キャップバックスの臨床効果がプレベナー20より約1.5倍高い、という意味ではありません。
2026年現在は、こんな感じです
| 商品名 | 種類 | 価数 | 2026年現在の位置づけ |
|---|---|---|---|
| ニューモバックスNP | PPSV23 | 23価 | 成人で使用。高齢者の定期接種からは外れた |
| バクニュバンス | PCV15 | 15価 | 小児定期接種でも使用可能。成人にも使用 |
| プレベナー20 | PCV20 | 20価 | 小児、高齢者の定期接種の中心 |
| キャップバックス | PCV21 | 21価 | 成人への任意接種。2025年発売 |
こうして並べると、
「どれが一番新しいか」
だけでは整理できません。
対象年齢や接種歴、定期接種か任意接種かによって、選択肢が変わります。
昔ニューモバックスを打った人は?
外来では、こちらの方が実際には困りそうです。
「5年前にニューモバックスを打ったんだけど、今度は何を打てばいいの?」
という人ですね。
日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会の合同委員会が2026年に公表した「考え方」では、
ニューモバックスNP、プレベナー13、バクニュバンス、プレベナー20などを過去に接種している場合でも、
1年以上の間隔をあけて、プレベナー20またはキャップバックスを接種することができる
とされています。
一方、以前よく行われていた、
「ニューモバックスを5年以上あけて、もう一度打つ」
という選択肢は、現在の「考え方」では原則として外されています。
このあたりも、以前とは考え方が変わってきています。
3年前の記事を、ときどき見直す
2023年にこの投稿を作ったときには、バクニュバンスが「最新型」でした。
3年後。
プレベナー13は姿を消し、プレベナー20が小児だけでなく高齢者の定期接種にも入り、さらにキャップバックス21価まで登場しました。
ワクチンの世界は、結構速く動いているのですね。
特に覚えておきたいのは、
2026年4月から、高齢者の定期接種がニューモバックスNPからプレベナー20へ変わったこと。
僕自身、今回調べ直して知識を更新しました。
もちろん、すぐ忘れますが、こうやってブログに「覚え書き」しておくと安心です。
昔作った自分の資料を見返して、
「これ、今も本当に合っているのかな?」
と調べ直す。
これも勉強になりますね。
秘書ユナのコメント
ちなみに、PPSVは「肺炎球菌の莢膜多糖体そのものを抗原とするワクチン」、PCVは「多糖体にタンパク質を結合させたワクチン」です。PCVの方が免疫記憶がつくられやすいのです。
こあら先生のひとりごと
2026年現在、高齢者の定期接種の主役は、プレベナー20です。成人では『筋注』です。
参考文献
日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会ワクチンWG/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会.65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版 一部修正 2026年7月15日).日本感染症学会.
https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/o65haienV/o65haienV_260715.pdf
最終閲覧日:2026年8月20日
厚生労働省.高齢者の肺炎球菌ワクチン.厚生労働省.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/pneumococcus-senior/index.html
最終閲覧日:2026年8月20日
厚生労働省.子どもの肺炎球菌ワクチン.厚生労働省.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/pneumococcus-child/index.html
最終閲覧日:2026年8月20日
医薬品医療機器総合機構(PMDA).承認審査情報掲載システム キャップバックス筋注シリンジ.医薬品医療機器総合機構.
https://www.pmda.go.jp/drugs/2025/P20250828001/navi.html
最終閲覧日:2026年8月20日
ファイザー株式会社.広範な血清型で肺炎球菌感染症を予防「プレベナー20®水性懸濁注」適応追加承認取得~高齢者、肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高い方の肺炎球菌感染症も予防~.ファイザー株式会社.
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2024/2024-08-28
最終閲覧日:2026年8月20日
牧之原市.高齢者肺炎球菌予防接種のお知らせ.更新日:2026年8月13日.牧之原市.
https://www.city.makinohara.shizuoka.jp/soshiki/17/30033.html
最終閲覧日:2026年8月20日
日本呼吸器学会.ストップ!肺炎. 医療従事者用.2025年6月.日本呼吸器学会.
https://www.jrs.or.jp/activities/guidelines/file/stop_haien_medical20250709.pdf
最終閲覧日:2026年8月20日