「最終更新 2026年8月25日」

FIB-4 indexは、年齢・AST・ALT・血小板数から、進行した肝線維化の可能性を見積もる一次スクリーニングです。

脂肪肝や代謝性リスクをもつ患者さんを、外来でどこまで追加評価するか。その入口として使います。

代診先の電子カルテに、この値が当たり前のように並んでいました。自分で計算しなければ使えない指標と、診療の流れの中で自然に目に入る指標。その差を考えます。

FIB-4 indexが電子カルテに並んでいた

肝臓の線維化評価には、実に多くの指標があります。

ヒアルロン酸、Ⅳ型コラーゲン7S、M2BPGi、オートタキシン。

いずれも「線維化マーカー」として知られ、専門外来では馴染み深い検査です。一方で、FIB-4 indexのようなスコアリングシステムもあります。

少なくとも僕自身は、これらを毎回きちんと使い分けてきたわけではありません。

僕の現場感覚としては、まず血小板数を見て肝硬変を疑い、気になれば専門科に委ねる。

この割り切りで、大きく困る場面はそれほど多くない、というのが正直なところでした。

ただ、少し前に代診をした際、電子カルテの検査結果一覧に、

「FIB-4 index」

という項目が、当たり前のように並んでいるのを見つけました。

調べてみると、FIB-4 indexというオーダー項目が電子カルテ内にあり、その先生はそれを選択していました。

つまり、自分で計算する必要はなかったのです。

FIB-4 indexは、何を見ているのか

FIB-4 indexの計算式は、次の通りです。

FIB-4 index = 年齢 × AST ÷[血小板数(10⁹/L)× √ALT]

ただし、肝臓の硬さを直接測っているわけではありません。

進行した肝線維化の可能性が低い人をまず分け、追加評価が必要な人を拾うための一次スクリーニングです。

主に、脂肪肝、とくにMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)や、慢性肝疾患が疑われる人で使います。

採血した人全員に、機械的に当てはめる指標ではありません。

脂肪性肝疾患を念頭に置いた代表的な目安は、

1.3未満 低リスク
1.3以上2.67未満 中間リスク
2.67以上 高リスク

です。

1.3以上であれば、超音波エラストグラフィによる肝硬度測定、血清線維化マーカー、専門科への紹介など、二次評価を考えます。

ただし、1.3以上だから肝硬変という意味ではありません。

高齢者では、年齢そのものに加え、加齢に伴う血小板数低下の影響で、FIB-4 indexが高く出やすくなります。

65歳を超える場合には、2.0未満を低リスクの目安とする運用があります。

一方、35歳未満では判別精度が低下します。

感染症や急性肝障害など、AST、ALT、血小板数が大きく動いている時期の値も、そのまま線維化評価には使いません。

FIB-4 indexが高かったら、どこを見るか

僕は、血小板数とFIB-4 indexを同じ画面で、経時的に見ます。

血小板数だけを見ていたときより、少し広い視野で肝線維化リスクを考えられるからです。

ただし、FIB-4 indexが上がっただけで、

「線維化が進んだ」

とは判断しません。

過去のAST、ALT、血小板数、脂肪肝の有無、糖尿病、肥満、脂質異常症、飲酒歴、ウイルス性肝炎を含む背景肝疾患を確認します。

どの構成要素が数値を押し上げたのか。

急性肝障害、薬剤、肝疾患以外の血小板減少はないか。

そこを見たうえで、二次評価が必要な変化かどうかを考えます。

それでも進行線維化が疑われる場合は、超音波エラストグラフィ、血清線維化マーカー、肝臓専門医への紹介へ進みます。

線維化の「雰囲気」をつかむには役立つ。

ただ、その雰囲気を診断に格上げしない。

このくらいの距離感がよさそうです。

FIB-4 indexの役割は、二次評価が必要な人を拾い上げたところで終わります。

肝細胞癌のサーベイランスは、肝硬変または進行線維化の有無をもう一段階評価し、背景疾患とリスクに応じて組み立てます。

FIB-4 indexを電子カルテに表示する意味

2026年6月1日適用の診療報酬点数表では、次のようになっています。

ヒアルロン酸 179点

Ⅳ型コラーゲン7S 148点

M2BPGi 194点

オートタキシン 194点

これは患者さんの自己負担額ではなく、診療報酬上の検査点数です。

一方、年齢、AST、ALT、血小板数がすでにそろっていれば、FIB-4 indexの算出自体に追加の検査料はかかりません。

それでも、別の計算画面を開かなければならない指標は、日常診療では使われにくい。

FIB-4 indexをオーダー画面で選択。

自動で計算されて、電子カルテの検査結果に自然に並べば、その一手間が消えます。

FIB-4 indexは、

「臨床的有用性が低いから使われない指標」

ではなく、

「使える形で提供されていなかった指標」

だったのではないか。

僕が見落としていたのは、医学知識ではなく、電子カルテのオーダー一覧だったのかもしれません。

参考文献

徳重克年.
非アルコール性脂肪性肝疾患診療のポイント―改訂NASH/NAFLD診療ガイドラインを踏まえて―
日本内科学会雑誌.2024;113(3):404-410.
doi:10.2169/naika.113.404.
論文はこちら(J-STAGE)
最終閲覧日:2026年8月25日

瀬戸山博子,橋本賢勇,前田大樹,ほか.
一次医療におけるFIB-4 indexの年齢依存性と高齢者での高値判定増加―地域一次医療における118,556例の横断解析―
肝臓.2026;67(3):269-272.
doi:10.2957/kanzo.67.269.
論文はこちら(J-STAGE)
最終閲覧日:2026年8月25日