10月12日、野口英世記念館を訪れました。
僕はこの記念館に寄付をしたことがあります。館内に掲示された2024年の寄付者一覧を見ると、自分の名前がありました。うれしかったです。
今回は、その記念館を訪ねて、いろいろなことを考えました。
なかでも印象に残ったのは、展示を見る前にはあまり考えていなかったことです。
見学が終わったあと、どうやって駅へ帰るのか。
生家が残り、周辺にも見どころがある
野口英世記念館の大きな特徴は、本人が幼いころに暮らした生家が残っていることです。
業績を説明したパネルや、ゆかりの品だけではありません。本人が実際に暮らしていた家を見ることができる。僕は、これは記念館にとって大きな強みだと思います。
古い生家の上には、大きな屋根のような構造物がありました。家そのものを守りながら見せているように見えます。
そのすぐそばを、幅の広い国道が通っていました。車も結構走っています。歴史的な家が残っている場所というと、細い道の奥を想像しそうですが、ここはそうではありませんでした。
道路の向かい側には、世界のガラス館・猪苗代地ビール館などの観光施設があります。広大な駐車場もあり、全体としては大きな道の駅のような印象です。
地ビール館の2階には、磐梯山を眺めながら食事ができるカウンター席がありました。外の屋台ではソフトクリームも売っています。
記念館と向かい側の施設を結ぶ地下道には、観光案内のポスターが貼られていました。そこを見ると、野口英世が通っていた小学校など、ほかにもゆかりの場所があることがわかります。
生家を見て、食事をして、周辺にも足を延ばす。そうした過ごし方ができそうな場所でした。
駅前にはいたタクシーが、帰りにはいない
今回は郡山でレンタカーを借りられず、JRで猪苗代駅まで来ました。
猪苗代駅前は広く、タクシーが停まっていました。レンタサイクルもあり、記念館方面へ向かうバスもあります。
ところが、記念館の周辺では事情が違いました。
僕が見た範囲では、タクシー乗り場はありません。待機しているタクシーも、一台も見かけませんでした。
向かい側の観光施設にも、あれだけ広い駐車場があるのに、タクシーはいない。
ここで、駐車場の広さの意味が少し違って見えました。
車で来た人は、見学が終われば自分の車へ戻れます。食事をしてから帰ってもよいし、別の観光地へ向かってもよい。
しかし、僕には戻る車がありません。
同じ記念館を訪れていても、車で来た人と、そうでない人では、見学を終えたあとの動きやすさがまったく違いました。
周遊バスに乗りたいのではなく、駅に帰りたい
帰りに使えるバスは、当日確認したところ、約1時間に1本でした。
バスの名前は「ひでよくん号」です。
運賃は、どこで降りても500円。ただし、猪苗代駅まで直接向かうわけではありません。途中の観光施設を回ってから駅へ行く仕組みでした。
ほかの施設も巡りたい人には、使い道があるのでしょう。
でも、そのときの僕は駅へ戻りたい。これから巡りたい場所を選んだわけではないので、途中を回る時間は、そのまま帰り道の長さになります。
記念館と猪苗代駅を、小さなバスで直接結んでくれたらよいのに。
現地では、そんなことを考えました。片道10分程度なら、1台でも30分に1回ぐらい往復できるのではないか、と。
もちろん、これはその場で考えた案です。実際の所要時間や利用者数、運転手の確保、費用まで調べたわけではありません。
ただ、利用者として欲しかったものは、はっきりしていました。あちこちへ連れていってくれるサービスではなく、見学を終えたら駅へ戻れるという見通しでした。
ひでよくん号の弱点
野口英世記念館前のバス停ですが、最終便が15時台でした。
もうひとつの弱点ですが、記念館前の国道を挟んで、こっち側とあっち側にバス停があるのですが、どちらから乗ったら猪苗代駅まで行けるのかが分かりにくい。正解は、どっち側から乗っても猪苗代駅まで行く、ですが。
僕がそのバス停を発見して近寄った直後に、バスが来たのですが、迷って、あせって、そのバスを見送ってしまった。結果、1時間待って、次のバスに乗りました。
スマートフォンの電池が切れると、さらに困る
今回は、記念館で写真を撮っている途中に、スマートフォンの電池も切れてしまいました。
せっかく来たのに、撮りたい写真が撮れない。残念でしたが、それだけでは済みません。
タクシー会社の電話番号を調べられない。電話をかけることもできない。
駅前なら、停まっているタクシーに乗れたでしょう。しかし、目の前に車がいない場所では、自分で連絡する手段が必要になります。
電池を切らしたのは、僕の準備不足です。帰りの交通手段も、事前に確認しておけばよかった。
それでも、実際に困ってみると、施設の中で帰り方を確認できることの価値がわかります。
次のバスは何時なのか。どこで待てばよいのか。タクシーを呼ぶにはどうすればよいのか。
スマートフォンが使える人には簡単なことでも、使えなくなった途端に、現地で得られる案内が頼りになります。
記念館の仕事は、どこまでなのだろう
記念館は展示をするところで、バスやタクシーは交通事業者の仕事。運営する側から見れば、その区別はあると思います。
ただ、訪れた僕にとっては、展示を見て、食事をして、駅へ戻るまでが一続きの体験でした。
生家を見られてよかった。周辺にも見どころがあった。それと同時に、「車がないと帰りが大変だった」という記憶も残っています。
野口英世という名前には、すでに大きな知名度があります。しかも、本人が暮らした生家が残っている。訪れたいと思う理由は、十分にある場所です。
だからこそ、僕は展示を増やすこととは別に、取り組めることがあるのではないかと思いました。
帰りの不安が少なければ、向かい側のビール館で、ゆっくり食事をするかもしれない。地下道のポスターで知った場所にも、足を延ばせるかもしれません。
僕が館長なら、まず帰り方を確かめる
今回、僕が館内の案内をすべて確認したわけではありません。交通案内や配車を手伝う仕組みが、すでにある可能性もあります。
そこで、僕が館長なら、まず車を使わずに来館した人の立場で、見学後の動きを確かめてみたいと思います。
出口に立ったとき、次のバスの時刻と乗り場がすぐにわかるか。タクシーを頼みたい人は、誰に聞けばよいとわかるか。スマートフォンが使えなくても、帰る手段を見つけられるか。
送迎バスを新しく走らせるとなれば、需要や費用の検討が必要です。その前に、既存の交通手段を、来館者が迷わず使えるようになっているかを確かめたい。
例えば、見学を終えたところで、こんな案内に出会えたら。
「次の猪苗代駅行きのバスは、○時○分です。タクシーをご希望の方は、受付にお声がけください」
それがわかれば、僕も時計を見ながら、磐梯山の見える席でもう少しゆっくりできたと思います。
秘書ユナのコメント
こあら先生、そもそもレンタカーを予約していなかったのは誰でしょう。帰りのバスの時刻を調べず、スマートフォンの電池まで切らしてしまったのも先生ですよね。
記念館の経営改善を提案する前に、まずはご自身の旅行計画を改善してはいかがでしょうか。
こあら先生のひとりごと
計画性がないって、妻にもよく言われるんだよね。