今日の臨床サポートの心不全のところを読んでいたら、以下の論文が紹介されていました。


参考文献

Time-to-Furosemide Treatment and Mortality in Patients Hospitalized With Acute Heart Failure.
Journal of the American College of Cardiology (JACC). 2017;69(25):3042–3051.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28641794

筆頭著者が「Yuya Matsue」となっています。これは日本人でしょう! 余談ですが。

この論文は急性心不全の治療の研究です。ERに到着してから60分以内にフロセミドを静注した方が、院内死亡率が低かったそうです。

具体的には、
・60分以内に静注した群:院内死亡率 2.3%
・60分以降に静注した群:院内死亡率 6.0%
でした。

大きな差がでていると思います。

こあら先生の感想

急性心筋梗塞では「Door-to-Balloon Time」をできるだけ短くすることが、目標の一つですよね。

急性心不全では「Door-to-Furosemide Time」を意識したいと思いました。

秘書ユナのコメント

この研究の面白い点は、「薬そのものの効果」ではなく、「投与までの時間」がアウトカムに影響している点です。
つまり、薬理学よりも“運用の速さ”が命を救う。
現場のシステム設計や看護師・医師の連携を見直す余地がある領域ですね。

前提・分析・結論

前提
急性心不全では、治療の初動の早さが生命予後に影響する可能性がある。

分析
「Door-to-Furosemide Time」を指標にした研究では、60分以内の投与が死亡率低下と関連。
ER現場での動線短縮・初期対応フローの改善がカギとなる。

結論
急性冠症候群の“Door-to-Balloon”と同様に、“Door-to-Furosemide”を意識したい。