胸部大動脈瘤の手術基準を「Go Go Go!(55mm以上)」と覚えている方も多いと思います。
では、腹部大動脈瘤はどうでしょうか?
答えは「ゴーー、ゴー!(50mm以上)」です。
つまり――
- 直径50mm以上
- 6カ月で5mm以上の拡大
このいずれかに該当すると、手術を検討すべきとされています。胸部よりも5mm小さいサイズが目安になる点は押さえておきたいところです。
破裂リスクの目安
米国の血管外科学会の報告によれば、腹部大動脈瘤のサイズと年間破裂率には以下のような相関があります。
- 4~5cm:0.5~5%
- 5~6cm:3~15%
- 6~7cm:10~20%
- 7~8cm:20~40%
- 8cm以上:30~50%
瘤径が大きくなるにつれて、破裂リスクは急上昇します。特に6cmを超えると、年間10%以上のリスクが出てくるため、予防的手術の重要性が増します。
まとめ
腹部大動脈瘤の手術適応は「50mm以上、もしくは半年で5mm以上の拡大」。
胸部より少し厳しめの基準で考えることが大切です。
破裂は致死的な転帰につながるため、画像フォローの際には数ミリ単位の変化にも注意を払う必要があります。

前提・分析・結論
前提
腹部大動脈瘤の手術適応は、直径50mm以上または6カ月で5mm以上の拡大とされる。破裂リスクはサイズに応じて上昇し、6cmを超えると年間10%以上となる腹部大動脈瘤。
分析
胸部よりも厳しい基準が設けられており、小さなサイズでも臨床的判断が求められる。特にフォロー中の患者では、数ミリの拡大を見逃さないことが重要である。
結論
腹部大動脈瘤の評価では「50mm」と「半年で5mm」という基準を常に意識することが、破裂予防と安全なタイミングでの手術につながる。