発熱で救急搬送された患者さんなんかで、血糖値が測られていないケースを見ることがあります。確かに家族は「持病は高血圧だけです」って言ってたんでしょうけど、そんなことは関係なく、血液検査時には常に100%血糖を測っておいたほうが良いですよという話です。
血糖値から広がる鑑別
血糖値を測るだけで、以下のような疾患が“あぶり出される”可能性があります。
- 血糖高値のとき
糖尿病、糖尿病性ケトアシドーシス、甲状腺機能亢進症、敗血症、急性心筋梗塞、脳卒中、膵炎など - 血糖低値のとき
低血糖による意識障害、糖尿病薬(特にSU剤)内服、飢餓やアルコール依存症、インスリノーマ、副腎不全、肝硬変や腎不全、敗血症、進行がんや心不全末期など
これだけ多くの疾患が、血糖測定ひとつでスクリーニングできるのです。
なぜ血糖をセットで測るのか
問診や身体所見では血糖値が分からないからです。
測定するだけで、緊急対応が必要な病態を早期に見つけ出せる可能性があります。さらに、HbA1cを加えれば、血糖値の評価が深いものになります。
だから私たちはこう教えています。
「採血するなら、血糖もセットで。」
「ポチっと押すだけで、命を守れるかもしれない。」
前提・分析・結論
前提:臨床現場では採血の際に血糖値を測定し忘れることがある。
分析:血糖値は糖尿病だけでなく、副腎不全や敗血症、インスリノーマなど幅広い疾患の診断に直結する。測定を怠ると診断の遅れや重症化につながりうる。
結論:採血オーダーには必ず血糖を含める。HbA1cを追加すれば、血糖値の評価が深まる。