熱が出ている場合、普通はCRPも高くなります。なので「CRPが高い」というのは診断的な価値があまりないのです。逆に「CRPが低い」場合は、以下のような病気が考えられるので、診断的価値があると言えます。
(1)薬剤熱
抗菌薬や抗てんかん薬などが原因になることがあります。比較的元気、比較的徐脈、そしてCRPが高くない。これらが揃うと薬剤熱を疑いやすいですね。UpToDateにも「正常から軽度上昇まで幅があるので診断的価値は限定的」と記載があります。
(2)EBウイルス感染症
40℃近い高熱でもCRPが1程度ということがあります。肝機能異常やリンパ節腫脹がヒントになる場面も多いです。
(3)ウイルス性髄膜炎
意識障害を伴うほどの高熱でも、CRPが1以下という例を経験します。細菌性髄膜炎であってもCRPは想像ほど上がらないことがあり、「5程度」までしか上がらないケースを経験しました。
(4)ニューモシスチス肺炎(PCP)
肺炎といえばCRP高値を思い浮かべますが、HIV関連のPCPではCRPが2以下にとどまることも珍しくありません。非HIV患者では平均6程度まで上がるという報告を見たことがあります。(あるような記憶があります)
(5)全身性エリテマトーデス(SLE)
SLE自体の発熱ではCRPはあまり上昇しません。逆にSLE患者で高いCRPを認めた場合には、感染や合併症をまず考える必要があります。
前提・分析・結論
前提:発熱とCRPは一般的に相関するが、一部の疾患では解離が見られる。
分析:薬剤熱、ウイルス感染症(特にEBVやウイルス性髄膜炎)、ニューモシスチス肺炎、膠原病(SLEなど)ではCRPが低めにとどまる傾向がある。
結論:「高熱なのにCRPが低い」症例を見た時には、感染症に加えて非感染性疾患(薬剤熱や膠原病)も念頭に置くことが診断の近道になる。