腎機能を見るとき、
多くの医療者がまず目にするのは eGFR です。

数字が分かりやすく、
経時的な変化も追いやすい。

ただ、CKD診療ガイドライン2023をあらためて読み直していて、
やはりここは何度でも立ち止まる必要があると感じました。

CKDの重症度分類は、
縦軸が eGFR、横軸が尿蛋白。

この図が何を伝えようとしているか。
結論は、かなりはっきりしています。

同じ eGFR であっても、
尿蛋白が多い人のほうが、末期腎不全に進みやすい。

これは印象論ではなく、
ガイドラインの設計思想そのものです。


参考文献

日本腎臓学会.
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023.
日本腎臓学会 公式サイト.
ガイドライン全文はこちら(日本腎臓学会)
最終閲覧日:2025年12月13日

FACT:CKD重症度分類が示している事実

まず事実から整理します。

CKD重症度分類では、
腎予後、心血管イベント、死亡リスクは、

eGFR単独ではなく、
eGFRと尿蛋白の組み合わせで評価されます。

同じG3a、同じG3bであっても、
A1とA3では、リスクの色分けがまったく違う。

この点は、
図を一度でも真面目に見れば否定できません。

つまり、

末期腎不全になりやすいかどうかは、
eGFRよりも、尿蛋白の情報を強く含んでいる。

これはFACTです。

意見:腎臓内科が本当に言いたいこと

では、
腎臓内科の先生たちは、
この図を通じて何を伝えたいのか。

私の理解は、かなり単純です。

もっと尿蛋白を測定してほしい。

それだけです。

eGFRは頻繁に測られる一方で、
尿蛋白は省略されがちです。

試験紙だけで済ませてしまう。
定量をしない。
アルブミン尿を測らない。

結果として、
リスク評価が甘くなる。

これは現場感覚として、
多くの医師がうすうす感じているはずです。

重症だと分かったら、何が変わるのか

ここで、よく出る問いがあります。

尿蛋白が多くて重症だと分かったとして、
何か良い治療があるのか。

答えは、
あります。

もちろん、
糖尿病を良くする。
血圧を下げる。
降圧薬はARBを選ぶ。

これは基本です。

そのうえで、
現在はもう一段、打ち手が増えています。

FACT:SGLT2阻害薬の位置づけ

尿蛋白が出ている場合、
糖尿病の有無にかかわらず、

SGLT2阻害薬が腎保護に有効である。

これは、
もはや周辺的な話ではありません。

実臨床では、

フォシーガ 10mg
ジャディアンス 10mg

このあたりが、
自然な選択肢になります。

適応、eGFR、脱水リスク。
そこは当然、個別に判断します。

ただ、
尿蛋白がある CKD に対して、
SGLT2阻害薬を検討しない理由は、
かなり少なくなってきました。

余談:ガイドラインを読むと、少しうれしい話もある

CKD診療ガイドライン2023を読んでいて、
少しだけ、気が緩む記載もありました。

コーヒー摂取は、
CKD進展抑制効果が期待できる。

64ページに、
きちんと書いてあります。

大げさに解釈する話ではありませんが、
日常生活の中で、
患者さんに伝えやすい一言ではあります。

まとめとして

同じ eGFR でも、
尿蛋白が多い人のほうが、
末期腎不全になりやすい。

これは、
感想ではありません。

CKD診療ガイドラインが、
最初からそういう構造で作られている。

だからこそ、
尿蛋白を測る。

それだけで、
診療の解像度は一段、上がります。

前提・分析・結論

前提
CKD評価はeGFR中心になりがちである。

分析
CKD重症度分類は、尿蛋白を強く評価軸に組み込んでいる。

結論
尿蛋白を測るだけで、CKD診療は一段、正確になる。

秘書ユナのコメント

eGFRの数字に安心してしまうと、
本当に危険な患者さんを見逃します。

尿蛋白は地味ですが、
将来を映す指標です。

今日から一つ、
検査オーダーを増やしてみてください。