在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy)は、慢性呼吸不全などの患者さんが在宅で安定した生活を送るための重要な医療です。
しかし、この診療報酬は構成が複雑で、請求漏れが起きやすい領域でもあります。

(1)在宅酸素療法の診療報酬は高額

在宅酸素療法の診療報酬は、全国一律で決められています。
一方で、実際の在宅酸素機器のレンタル料は病院と業者の個別交渉で決まります。
つまり、収入(診療報酬)は固定で、支出(レンタル料)は変動という構造です。

(2)請求システムの注意点

オーダリングシステムから診療報酬請求ソフトに自動でデータが連携されると思われがちですが、
在宅酸素は手作業で入力が必要な部分があるといわれています。
請求漏れを防ぐためには、医事課・医師事務作業補助者・医師が連携し、定期的にチェックすることが大切です。

(3)診療報酬の構成(フルセット)

在宅酸素療法の報酬は、以下の5つの項目で構成されます。

1.在宅酸素療法指導管理料 2万4000円
2.酸素濃縮装置加算 4万円
3.携帯用酸素ボンベ加算 8800円
4.呼吸同調式デマンドバルブ加算 2910円
5.在宅酸素療法材料加算 1000円

合計すると 7万6710円/月 です。
このうち「管理料」が1つ、「加算」が4つ。どれかを請求し忘れると、大きな損失になります。

(4)まとめ

・在宅酸素療法の診療報酬は5項目構成で、合計7万6710円/月
・請求の一部は手作業であり、オーダリング連携だけでは不十分
・業者への支払額は交渉制のため、経営的な把握も必要

医療の質を守りつつ、経営的にも持続可能な仕組みを整えるためには、
請求精度の向上とチーム内の共有が欠かせません。

前提・分析・結論

前提:
在宅酸素療法は高額な診療報酬を伴う在宅医療の代表例である。

分析:
自動連携システムだけに依存すると、請求漏れが生じる可能性がある。
また、業者支払が交渉制であるため、病院経営に与える影響も大きい。

結論:
医療と経営の両面から、在宅酸素療法の請求プロセスを理解しておくことが、
チーム全体の責任と信頼を支える。

秘書ユナのコメント

在宅酸素の診療報酬は、単なる数字ではなく「患者支援の継続性」を支える財源です。
請求の精度を高めることは、医療の持続可能性を守ることでもあります。