この小文字が、どうしても頭に残らない話
若い先生から
「ヘフペフ」とか
「ヘフヘフ」とか
言われることがあります。
正直に言うと、少し引っかかる。
意味は分かっているのに、耳に残らない。
HFはハートフェイリアー。
これはもう、日本の臨床現場では共通言語です。
EFも、EFで通っています。
Ejection Fraction、左室駆出率。
ここも問題ありません。
問題は、その間に挟まっている小文字。
p、r、mr。
意味は知っている。
でも、パッと出てこない。
FACT
心不全のEF分類は、現在この3つが基本です。
・HFpEF
左室駆出率が保たれた心不全
heart failure with preserved ejection fraction
・HFrEF
左室駆出率が低下した心不全
heart failure with reduced ejection fraction
・HFmrEF
その中間
heart failure with mildly reduced ejection fraction
定義やカットオフはガイドラインに明記されており、医学的には揺らぎはありません。
ここからは、意見です。
この表記、合理的ではあります。
論文を書く側、国際的に議論する側にとっては。
ただ、日常診療の現場ではどうでしょうか。
外来。病棟。カンファレンス。
瞬時に意味が立ち上がるか、が重要です。
そこで私は、覚え方を一つだけ決めています。
HFpEF の p は
パーフェクト。
駆出率が保たれている。
とりあえず「数字としては問題ない」状態。
完璧、という意味ではありません。
でも、頭の中で一度、丸をつけるには十分です。
HFpEF=パーフェクト。
HFrEF の r は
リラックス。
駆出率が低下している。
心臓がしっかり縮めていない。
脱力している、緩んでいる。
そんなイメージ。
HFrEF=リラックス。
この2つだけ、まず固定する。
mr は、その間。
中間。
無理に覚えようとしない。
現場で一番使うのは、結局この2極です。
FACT
HFmrEF は、HFrEF 由来で改善してきた症例や、逆に HFpEF から悪化してきた症例が含まれます。
治療エビデンスも、HFrEF 寄りに解釈されることが多いのが現状です。
意見として。
用語は、正確である前に、使えることが大事だと思っています。
覚えられない言葉は、思考を止めます。
思考が止まると、判断も止まる。
だったら、一度、覚え方を自分の中で再定義すればいい。
それで診療のスピードと精度が上がるなら、十分価値があります。
前提・分析・結論
前提
心不全のEF分類は、ガイドライン・論文・教育現場で共通言語として使われている。
HF、EF そのものは臨床現場でも十分に浸透している一方で、
p・r・mr といった小文字部分は、意味を理解していても即時に想起しにくい医師が少なくない。
用語の正確性と、現場での使いやすさは、必ずしも一致しない。
分析
HFpEF、HFrEF、HFmrEF という表記は、国際的議論や論文化には適している。
しかし、日常診療では
・瞬時に意味が立ち上がるか
・会話やカルテで迷いなく使えるか
が判断速度に直結する。
特に p と r の抽象度は高く、
「知っているが、引っかかる」状態を生みやすい。
一方で、EFが保たれているか、低下しているか、という二分は
診療方針・説明・治療選択において、最も頻用される軸である。
結論
EF分類は、正確に暗記する対象ではなく、
自分の頭の中で即座に意味変換できる状態にしておくことが重要である。
HFpEF=パーフェクト
HFrEF=リラックス
このように一度、自分なりの翻訳を与えることで、
用語は「覚えるもの」から「使える道具」に変わる。
分類は目的ではない。
思考と判断を前に進めるための補助線に過ぎない。
これが、今の私の結論です。
こあら先生のひとりごと
へふへふとか、へふぺふとか、てへぺろとか、プレゼンで言わないで欲しいです。
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