参考文献

厚生労働省。
健康に配慮した飲酒に関するガイドライン.
厚生労働省 公式サイト.
ガイドライン全文はこちら(厚生労働省)
最終閲覧日:2025年11月29日

外来では、飲酒について質問されることが多い。
「先生、少しなら飲んでも大丈夫ですよね?」
この問いにどう答えるかは、医師としていつも考えさせられる。

令和6年2月、厚生労働省が『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』を公表した。
全17ページのうち本文は7ページで、残りは膨大な参考文献が続く。
読み進めると、飲酒が身体に及ぼす影響が淡々と整理されていて、声のトーンが自然と静かになる資料だった。

(1)「少量であってもリスクが上がる」とされる疾患

6ページの表1には、疾患ごとに飲酒量(純アルコール量)とリスク上昇の関係が示されている。

例えば、
高血圧
男性の食道がん
女性の出血性脳卒中
これらは「0g超」、つまり 「少量の飲酒でもリスクが上がる」と解釈される分類 になっている。

(2)「量が増えるとリスクが上がる」とされる疾患

一方で、一定量(純アルコール量の閾値)が記載されている疾患もある。

たとえば
・大腸がん → 男性・女性ともに 150g/週(20g/日)
・脳梗塞 → 男性 300g/週(40g/日)、女性 75g/週(11g/日)
・肝がん → 男性 450g/週(60g/日)、女性 150g/週(20g/日)
・前立腺がん → 150g/週(20g/日)

(3)純アルコール量の目安

ガイドラインでは、純アルコール量の計算式が明示されている。

摂取量(ml)× アルコール度数(%)× 0.8
例:ビール 500ml(5%)=純アルコール 20g

これは臨床の現場では非常に使いやすい。

(4)ガイドラインの大切な姿勢

本文(1ページ〜5ページ)には、繰り返し
「個人差がある」
「体質・年齢・性別により影響が異なる」
「少ない量にすれば発症しないとは言い切れない」
といった慎重な記述が並ぶ。

こあら先生のひとりごと

「酒は百薬の長」とか言ってたのは、科学的に否定されています。

ところで、タバコのパッケージを画像検索してみて下さい。「タバコ吸ったら死にますよ」みたいなことが書いてあります。

日本は小さな文字だけですが、海外のタバコのパッケージなんか、恐ろしい写真入りで「警告文」がデカデカと書いてありますよ。

アルコールも、この流れになるのでしょうか?

まあ、僕がビールを飲みたい理由は「ぷはー」って言いたいだけなので、もうノンアルコールビールでいいです。

前提・分析・結論

【前提】

・引用元は厚生労働省『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』(令和6年2月)。
・疾患別リスクは6ページの表1の数値に基づく。
・本文は一般論ではなく、医療従事者が外来で患者説明をする際に使いやすい視点に整理している。

 

【分析】

(1)少量飲酒でもリスクが上がる疾患が存在する
表1の「0g超」は、飲酒量がごく少量でも発症リスクが上昇することを示している。
高血圧、男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などがその代表。

(2)一定量以上でリスクが上がる疾患もある
脳梗塞、大腸がん、肝がん、前立腺がんなどは、純アルコール量の閾値が明示されている。
患者への説明では、“疾患ごとに違う” ことを丁寧に伝える必要がある。

(3)純アルコール量は、外来説明の核心になる
ガイドラインの計算式はシンプルで、臨床現場でも説明しやすい。
ただ、患者側は「度数」より「缶のml」で理解するため、具体例(ビール500ml=20gなど)が役に立つ。

(4)ガイドラインの姿勢
本文では一貫して
「個人差」
「体質・年齢・性別による違い」
「少ない量でもリスクゼロとは言えない」
という慎重な語りが貫かれている。
医師側も、断定ではなく“距離感の調整”として飲酒の話を扱う姿勢が自然だと思われる。

 

【結論】

・飲酒量はゼロに近いほど疾患リスクが低い方向に向かう。
・ただし、個人差や背景疾患の存在を無視することはできない。
・患者説明では、「少量で上がる疾患」と「一定量で上がる疾患」を分けると理解が深まりやすい。
・純アルコール量の計算式と具体例は、外来での実用性が高い。
・医療従事者自身の飲酒習慣の見直しにもつながる資料であり、臨床の場に馴染むガイドラインと言える。

秘書ユナのコメント

飲酒のガイドラインは、疾患リスクの印象が強く、読んだ直後は「患者さんにどう伝えるべきか」と考え込みがちです。

ただ、表1を見ると
「少量でもリスクが上がる疾患」
「ある程度の量から上がる疾患」
この2つに分かれていることが分かります。
ここを踏まえて説明すると、患者さんの理解は一段深くなります。

また、純アルコール量の換算は、医療側にとっては当然でも、患者さんにとっては初めて触れる概念です。
ビールや日本酒など、普段の“飲み方の単位”に引き直して説明することで、行動の調整につながりやすくなります。

ガイドライン本文にもあるように、飲酒の影響には個人差があります。
「一律に禁止する」のではなく、その人の体質・背景疾患・生活のリズムを一緒に考えていく姿勢が、臨床現場では自然だと感じます。

 

英語を少し添えます。
Risk communication is most effective when numbers are translated into everyday units.
(リスクの説明は、数字を日常の単位に変換した時にもっとも伝わりやすくなります)

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