血液検査を開いた瞬間。
僕はまず eGFR を見ます。

クレアチニンではなく、eGFR。
理由は単純で、判断に直結するからです。

eGFRが30を切っている。
あるいは、以前より落ちている。

この瞬間、僕の頭の中で最初に動くのは診断ではありません。
薬です。

「この内服、本当にこのままでいいのか。」

ここで一度、止まります。

院外処方という前提

多くの病院は院外処方です。
僕の病院もそうです。

薬剤師さんは基本的に血液データを見られません。
病名も共有されないことが多い。

つまり、腎機能に応じた減量は、
医師が止まらなければ、そのまま流れます。

制度の問題というより、責任の所在の問題です。

だから私は止まる。

僕が実際に止めた薬

プレガバリン(リリカ)で意識が落ちた高齢者を、僕は連続で経験しました。
発売から数年、臨床現場に広がってきた頃のことです。

eGFRは20台。
用量は通常量。

ふらつき、傾眠、転倒。
薬を減らすと、数日で戻る。

帯状疱疹後にバラシクロビル(バルトレックス)を処方され、
数日後に意識障害で救急搬送された患者さんもいました。

アシクロビル脳症は教科書に書いてあります。
でも、目の前で見ると、忘れなくなります。

ロキソプロフェン。
レボフロキサシン。
ファモチジン。

これらも、腎機能に応じた減量が必要です。

どれも珍しい薬ではありません。
だからこそ、見落とされる。

なぜ忘れるのか

外来では、目の前の急性疾患に意識が向きます。

肺炎を治す。
痛みを取る。

その処方が腎機能と釣り合っているかどうかは、一拍遅れて頭に浮かぶことが多い。

前提・分析・結論

前提
腎機能低下時には、腎排泄薬の血中濃度が上昇する。

分析
eGFR30未満では、NSAIDs、プレガバリン、バラシクロビル、レボフロキサシン、ファモチジンなどの副作用リスクが現実的に増加する。院外処方環境では、減量判断は医師に依存する。

結論
eGFR<30を見た瞬間、私は診断より先に薬を総点検する。

こあら先生のひとりごと

僕は、添付文書と今日の臨床サポートでダブルチェックします。
それでも、最後に責任を取るのは自分です。