導入

赤血球を2単位輸血したら、ヘモグロビンはどれくらい上がるか。

若い医師に聞くと、意外と曖昧な答えが返ってきます。

でも、ここが分かっていないと
輸血が効いているのかどうか、判断できません。

FACT

・赤血球濃厚液2単位は約280mL
・薬価は約1万8132円
・体重50kgの成人では、2単位でHbは約1.5g/dL上昇する

ここまでは事実です。

僕の現場感覚としては

胃潰瘍でHb6.5。

赤血球2単位を輸血する。

理論上、翌日のHbは8.0前後になるはずです。

教科書には正常値が載っていますが、実際の診察室では
この「予測値」がすべてです。

もし翌日のHbが7.0だったら。

私は一度立ち止まります。

まだ出血が続いているのではないか。
循環血液量の変動か。
採血タイミングの問題か。

この時点で、私の中では選択肢が2つに絞られます。

(1)想定内の変動として経過観察
(2)持続出血を疑い再評価

後者だと判断した場合は、止血確認のため、今日も胃カメラを行います。

なぜこの数字が重要か

輸血は「入れた」という行為では終わりません。

「どれくらい上がるはずか」

この予測がなければ、異常は異常として認識できません。

Hbは絶対値で見るのではなく、
前後差で見る。

そして、その前後差が妥当かどうかを考える。

これが臨床の基本だと思っています。

僕がもし患者さんの立場なら

輸血を受けた翌日。

「まあ上がってましたよ」

と言われるよりも、

「50kgなら1.5上がるはずです。今は足りません。理由を探します」

と言ってくれる医師の方が安心します。

だから私は覚えています。

50kgなら、2単位で1.5。

前提・分析・結論

前提
赤血球2単位でのHb上昇量には予測値がある。

分析
体重50kgで約1.5g/dL上昇。
予測より低ければ、持続出血や希釈などを疑う。

結論
輸血後は「輸血前のHb」ではなく「上がるはずのHb」と比較して評価する。

秘書ユナのコメント

In a 50-kg adult, two units of packed red blood cells raise hemoglobin by about 1.5 g/dL.
(体重50kgの成人では、赤血球2単位でHbは約1.5上昇する)

こあら先生のひとりごと

ちなみに、外来でRCC2単位を輸血した場合のコストは、薬価(血液製剤そのもの)1万8132円に加え、輸血実施料800点、輸血管理料Ⅰ(輸血管理料+輸血適正使用加算)340点、さらに血液型・不規則抗体検査などが算定されます。輸血部分で、だいたい3万円くらいですね。

そもそも、貴重な血液製剤。

だから私は「とりあえず2単位」とは言いません。



参考文献
日本赤十字社.赤血球製剤(赤血球液輸血時のHb値上昇予測値の表). 赤血球液輸血時のヘモグロビン上昇予測値を体重別に示した公式資料。輸血単位数とHb上昇量の関係を確認する際の一次情報として参照。 https://www.jrc.or.jp/mr/blood_product/about/red_blood_cell/ 最終閲覧日:2026年2月25日
日本赤十字社.薬価・診療報酬(2025年7月現在). 血液製剤の薬価および輸血に関する診療報酬算定の概要を掲載。赤血球液-LRの薬価や、保存血液輸血料・輸血管理料などの確認資料として参照。 https://www.jrc.or.jp/mr/transfusion/mfee/ 最終閲覧日:2026年2月25日