腹部造影CTを読影していると、門脈が何となく分からないまま流してしまうことがあります。動脈相は得意でも、静脈系になると自信が揺らぐ。臨床の現場では、そんな感覚を持つ医師や研修医は少なくありません。

今回の元ネタは、金曜勉強会で扱った腹部造影CTです。画像を一枚ずつ追いながら、門脈がどこから来て、どこへ向かうのかを確認していきます。

まず前提をそろえる

最初に確認したいのは、上腸間膜動脈です。造影CTでは、比較的早期からはっきり造影されるため、ランドマークとして非常に使いやすい存在です。

この動脈が分かることを前提に、少しずつ頭側へスライスを追っていきます。

上腸間膜静脈を見つける

上腸間膜動脈のすぐ近くを並走するように走る静脈。それが上腸間膜静脈です。動脈よりもやや太く、造影のタイミングによっては濃度差で見分けやすくなります。

ここで一つ、意識しておきたい点があります。動脈と静脈を「別物として」覚えないことです。並走しているという空間的な関係を頭に入れると、次の一手が自然になります。

脾静脈との合流

次に確認するのが脾静脈です。膵の背側を水平に走る太めの静脈で、これもCTでは比較的見つけやすい構造です。

上腸間膜静脈と脾静脈。この二つが合流したところが、門脈になります。

ここまで来ると、「門脈を探す」のではなく、「合流点を確認する」という発想に変わります。探し物の精度が、一段上がる感覚です。

門脈血栓をどう見るか

今回の症例では、門脈内に造影欠損が認められます。スライスを追うと、はっきりとした血栓として確認できます。

門脈血栓症では、 ・門脈の拡張 ・造影欠損 ・側副血行路の有無

こうした点をセットで評価していくことが、臨床的には自然です。

ちなみに下大静脈

比較対象として、下大静脈も確認しておきます。位置関係と造影のされ方を見比べることで、門脈系との違いがより明確になります。

「似ている構造を並べて見る」。これは画像診断全般に通じる、地味ですが効く視点です。

前提・分析・結論

前提:腹部造影CTでは、静脈系の理解が曖昧になりやすい

分析:上腸間膜動脈を起点に、静脈を順に追うことで、門脈の立体的理解が進む

結論:門脈は探すものではなく、流れとして確認するもの

秘書ユナのコメント

門脈は暗記対象ではなく、動線です。毎回同じ順番で追う癖をつけると、血栓や狭窄といった異常所見にも自然に目が向くようになります。

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画像出典
Case courtesy of Bruno Di Muzio.
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