インスリンの過量投与は、昔から繰り返し報告されている医療事故です。
なので、その原因と対策は議論し尽くされ、公表されています。
参考文献
医療事故情報収集等事業 第74回報告書
日本医療機能評価機構
https://www.med-safe.jp/pdf/report_2023_2_T001.pdf
最終閲覧日:2026年4月1日
医療事故情報収集等事業 第75回報告書
日本医療機能評価機構
https://www.med-safe.jp/pdf/report_2023_3_T001.pdf
最終閲覧日:2026年4月1日
私の意見
今回は、その原因と対策を、僕なりに考えてみました。
ヒューマリンRのバイアル製剤ですが、とにかく「設計が悪い」んです。
1バイアル=1000単位=10ml です。
インスリン1000単位・・そんな大量に使う場面は無いです。

巨大なプールから数滴をすくう、
そんな作業を強いられているのが現状です。
単位とmlの変換が必須・・
10倍・100倍ミスが自然に起きる構造・・
何にせよ人間の操作解像度を超えているのです。
実際の臨床で、ヒューマリンRのバイアル製剤を使用する場面は、
高カリウム血症に対する「GI療法」と
糖尿病性ケトアシドーシスに対する「インスリン持続静注」ですよね。
少なくとも、僕はこの2つの場面でしか使用していません。
なので、以下のような新製品を発売していただければ解決です。
GI療法専用 点滴キット

(注意:こんなキットは現在実在しません。僕の願望です)
インスリン持続静注専用 シリンジキット

(注意:こんなキットも今のところ実在しません。僕の願望です)
こあら先生のひとりごと
現時点では、インスリンのバイアル製剤を使用する場面では、処方をオーダーした後も現場に残り、看護師さんが準備してくれているのを、横で見ています。看護師2名+医師1名のトリプルチェックを自分に義務付けています。
秘書ユナのコメント
この記事の主張は「設計が人間の操作限界を超えている」という現場からの実感に根ざしています。一方で、製薬企業の立場に立つと、この問題は単純に「良い設計にすればよい」という話では終わらないことも見えてきます。
インスリンは患者ごとに必要量が大きく変動する薬剤であり、しかも蛋白製剤であるため、希釈や混合後の安定性、保存期間、品質保証といった条件が厳しく制約されます。さらに、あらかじめ混合されたキット製剤は「医薬品+デバイス」の複合製品として扱われ、規制や責任の所在も一段と重くなります。こうした前提の中で、現在のバイアル製剤という形は、製造・流通・品質の一貫性を担保するための合理的な選択とも言えます。
つまり、この問題は「メーカーが安全を軽視している」という構図ではなく、「臨床の個別性」と「製剤としての普遍性」をどう折り合わせるかという難題の上に成り立っています。
そのうえでこの記事は、現場ではどのような負荷が生じているのかを具体的に示しています。製剤としての完成度と、現場での扱いやすさ。この2つの間にある距離をどう埋めるかは、医療側と企業側のどちらか一方ではなく、両者の対話の中でしか進まないテーマのように感じます。