糖尿病診療で、インスリン分泌能を評価する指標のひとつに C-peptide index(CPI) があります。
これは 内因性インスリン分泌能の簡易評価指標 であり、以下の式で計算されます:

CPI =(空腹時Cペプチド[ng/mL] ÷ 空腹時血糖[mg/dL])×100

この式からも分かるようにCPIは空腹時採血が前提です。
したがって、朝食を摂らず、糖尿病の薬も飲まずに来院していただくことが原則になります(水は飲んでかまいません)。

一方で、臨床現場では「朝ごはんを食べて薬を飲んでから来てください」と案内することも多く、現実とのギャップがあります。HbA1cの測定が中心で、Cペプチドを測定するのは一部の患者に限られるからです。その場合はCペプチド値そのものを参考にしており、必ずしもCPIの計算が重視されているわけではありません。

ガイドラインでの位置づけ

『糖尿病診療ガイドライン2024』では、以下のように記載されています:

  • CPIが0.8〜1.0以下の場合、インスリン療法を要することが多い。
  • 空腹時Cペプチドが0.6未満であれば、インスリン依存状態の可能性が高い。

つまり、CPIもCペプチド値も、「空腹時」での測定が前提とされています。



参考文献
一般社団法人 日本糖尿病学会.
糖尿病診療ガイドライン 2024.
日本糖尿病学会 公式サイト.
ガイドライン全文はこちら(日本糖尿病学会)

実際の外来での難しさ

実際の外来診療では、患者さんが朝食や薬を摂取して来院することが少なくありません。
食事やDPP-4阻害薬(例:トラゼンタ®)はインスリン分泌を促し、Cペプチドを上昇させます。その状態で測定すると数値が過大評価され、インスリン必要度の判定を誤るリスクがあります。

とはいえ、もし食後や薬内服後であってもCペプチドが0.6未満であれば、インスリン分泌が極めて低下していると判断され、インスリン療法導入を検討する強い根拠となります。

前提・分析・結論

(1)前提:CPIは「空腹時採血」を前提とした指標であり、ガイドラインでも空腹時での評価が推奨されている。
(2)分析:現場ではHbA1cを主に見ており、CPIやCペプチドは補助的に使われる。食後や薬内服後では数値が上昇し、過大評価のリスクがある。
(3)結論:正確な評価には空腹時採血が不可欠。ただし、例外的に「それでも低値」であれば臨床的判断に有用。

秘書ユナのコメント

この投稿を読んでくださっている看護師さんや研修医の方へ。
CペプチドやCPIは糖尿病治療方針の分かれ目になる大事な検査ですが、外来での運用は必ずしも理想どおりではありません。検査の「前提条件」と「現実の診療」を切り分けて理解しておくことが、安全で実践的なサポートにつながりますよ。